猿翁アーカイブにみる三代目市川猿之助の世界 第九回フォーラム
〈受け継ぐ〉
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三代目市川猿之助(二代目猿翁)さんから京都芸術大学に寄贈いただいた貴重な歌舞伎関係資料をもとに、三代目猿之助の軌跡をたどるフォーラムの九回目。〈受け継ぐ〉をテーマに、ゲストにお話しいただきます。
ゲスト:市川團子(歌舞伎俳優)
ゲスト:石川耕士(脚本家、演出家)
企画:田口章子(京都芸術大学教授)
映像担当:京都芸術大学広報課、倉田修次
協力:松竹株式会社、公益社団法人日本俳優協会、株式会社キノシ・オフィス
主催:京都芸術大学舞台芸術研究センター
《企画者のことば》
受け継ぐ
芭蕉の言葉に「故人の求むるところを求むる」とありますが、形はなり易く心はなり難い、先人が何をしようとしたのか。その心を学ばなければいけない。これは祖父の究極の教えでしたね。型をふまえた上で型を破るのが伝統芸の上での創造であって、そういう気持ちがこの芭蕉の言葉なのだと考えられるような気がします。
三代目市川猿之助(二代目猿翁)の演劇活動の根底には祖父二代目猿之助(初代猿翁)の教えがあったことが知られる。
伝統の受け継ぎかたが芭蕉の言葉に含まれていると考えた三代目猿之助は、伝統には変わるものと変わらないもの、変えてはいけないものと変わらなければいけないものがあるという独自の歌舞伎哲学を掲げた。猿之助歌舞伎の三本柱である「古典の新演出」、「古狂言の復活通し上演」、「新作の創造」は、伝統との格闘の上に成り立っている。
三代目猿之助は歌舞伎歴代の名優たちを、創造作品を残した「創造者」と古来の型を継承しながら独自の世界を作り上げた「表現者」に大別し、自身は後世に自分の作品が残る「創造者」でありたいと希求しながら、「創造」を演劇活動の柱として活躍し続けてきた。そして、伝統演劇の限りない可能性を私たちに教えてくれた。
家の芸「猿之助四十八撰」はもとより、三代目猿之助の成し遂げた数々の偉業を、私たちはどう受け継いでいくか。何を受け継いでいくべきか。本学には猿翁アーカイブがある。「今後これらの資料が歌舞伎の世界だけでなく、広く舞台芸術の歴史の一部として後世の参考になれば」という思いを込めて寄贈した三代目猿之助の願いを無駄にはできない。
九回目となる今回のテーマは「受け継ぐ」。私たちは、時代の風と切り結ぶ破格のエネルギーを持って生き抜いた三代目猿之助から学べることがたくさんあるはずである。
三代目市川猿之助(二代目市川猿翁)
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1939年(昭和14)生まれ。つねに「時代とともに生きる歌舞伎」をめざし、伝統の継承と創造に全身全霊をかけて走り続けている。「猿翁十種」をはじめとする家の芸の継承はもとより、『義経千本桜』『加賀見山再岩藤』などの古典歌舞伎の再創造、『菊宴月白浪』『競伊勢物語』などの古劇の復活、さらには『ヤマトタケル』や『新・三国志』シリーズなどのスーパー歌舞伎の創造まで、パワフルな活動はみごとな芸術的完成を見せる。現代歌舞伎に多彩で豊穣な成果をもたらしてきた演劇活動の中から「三代猿之助四十八撰」を制定した。歌舞伎にかける熱い思いと革新的な発想は、三代目市川猿之助が育てた弟子たちにも確実に受け継がれている。平成24年新橋演舞場において、祖父が名乗った猿翁の名を二代目として襲名。
京都芸術大学では、平成5年に芸術学部教授、平成12年〜17年副学長に就任。集中講義では学生に歌舞伎の実技実演指導も行なった。同大の春秋座には徳山詳直前理事長とともに劇場の構想・設計から関わる。初代芸術監督として、杮落し公演の『日本振袖始』はじめ、数々の舞台を企画し出演した。
お申込み方法
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下記をご参照いただき必要事項を全てご記入の上、往復はがきにてお申し込みください。
[入場料]無料(全席指定)
[受付期間]2024年6月24日(月)~7月22日(月)
※おひとり様一回限りのお申込みでお願いいたします。
※受付期間外の消印は無効となりますので、ご注意ください。
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[結果通知]
8月中旬までに、当選結果をご返信いたします。当選された方へは座席番号を明記いたします(お座席はお選びいただけません)。
当選された場合、返信はがきが入場証となり、入場時にご提示いただきますので、必ずご持参ください。返信はがきをお持ちでない場合、入場をお断りする事がございます。予めご了承くださいませ。