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京舞と狂言

京都の地で伝承され、独自の文化を育んでいる「狂言」と「京舞」。異種芸能でありながら両者が共通に持っているテーマを取り上げ、比較上演します。京都造形芸術大学出身でもある、京舞の井上安寿子、狂言の茂山忠三郎が出演。三年連続企画を予定しており、初回2019年度のテーマは「女」。京舞は『三国一』と『鉄輪』の二番を、狂言は『因幡堂』を上演。トークもおこないます。

出演:茂山忠三郎、井上安寿子
企画:田口章子(京都造形芸術大学教授)

助成:文化庁文化芸術振興費補助金(劇場・音楽堂等機能強化推進事業)|独立行政法人日本芸術文化振興会


【京舞】
上方唄『三国一』(さんごくいち)
京都の壬生寺に古くから伝承されるおおらかで滑稽味あふれる無言劇、壬生狂言の「桶(おけ)取(とり)」から取材した曲。壬生寺に参詣する美しい娘を男が見初め様々に口説き結ばれるが、そこに醜女の妻が現れる。娘は逃げ去り、妻は男の不実をなじるが、男は嘆く妻を振り払い娘の後を追って行く、という内容。今回は二人立ちで、男と女になり、前半の女は、男に見初められた娘を、後半は、醜女の妻の二役を演じます。

立方:井上安寿子、井上葉子
唄:小桃、幸苑
三味線:惠美二、君鶴、福奈美

地唄『鉄輪』(かなわ)
能「鉄輪」に取材しており、後段の鬼と化してからの詞章は、謡曲から写されている。夫に捨てられた妻が、貴船神社に鬼になりたいと祈願し、鬼と化し、夫と後妻に復讐をしに行くが恨みを晴らせず去る姿を描いている。振付は能に造詣の深かったと伝えられる二世八千代。「葵上(あおいのうえ)」「珠(たま)取(とり)海女(あま)」と並んで井上流の本行舞を代表する一曲です。

立方:井上安寿子
唄・三味線:梅辻理恵、小ます、だん佑、ます穂
小鼓:望月晴美、大鼓:藤舎朱音、笛:藤舎理生

【狂言】
『因幡堂』(いなばどう)
大酒飲みの妻に離縁状を送り付けた夫が、因幡堂の薬師如来に新しい妻を授けるよう祈願していると、事情を知り激高した妻がやってくる。妻は姿を隠したまま、参籠中の夫に、西門に立つ女を妻にするようお告げをし、自ら衣を被って西門に立つ。偽のお告げを信じ込んだ夫がさっそく女に声をかけ、過去の妻の悪口をさんざんに聞かせながら家に連れて帰り、祝言の盃を交わそうとすると、女ばかりが盃を重ねて夫に返そうとしない。夫が無理やり盃を取り返し、被った衣をはがすと・・・

出演:茂山忠三郎(大蔵流)、野村又三郎(和泉流)

【トーク】
茂山忠三郎、井上安寿子
聞き手:田口章子(京都造形芸術大学教授)
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井上安寿子(いのうえ・やすこ)
京舞井上流五世家元井上八千代の長女として京都に生まれる。平成3年、四世及び五世井上八千代に師事。平成4年「四世井上八千代米寿の会」にて初舞台(上方唄「七福神」)。平成18年井上流名取となる。平成23年京都造形芸術大学卒業。平成25年 井上安寿子主催の京舞公演 葉々(ようよう)の会を発足。第50回なにわ芸術祭 新進舞踊家競演会において新人賞受賞。平成27年より学校法人八坂女紅場学園の舞踊科教師に就任。平成27年度京都市芸術新人賞、平成28年伝統文化ポーラ賞奨励賞、平成30年東京新聞第1回日本舞踊新鋭賞・文化庁芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞。

茂山忠三郎(しげやま・ちゅうざぶろう)
昭和57年京都に生まれる。能楽師 大蔵流狂言方。茂山忠三郎家、四世忠三郎の長男。父に師事。四歳にて「伊呂波」のシテで初舞台を踏む。その後「釣狐」、「三番三」、「花子」など秘曲、重曲を異例の若さで上演。海外への芸術文化交流にも力を入れアメリカやヨーロッパなど海外公演も多数。平成17年京都造形芸術大学卒業。平成21年度文化庁文化交流使。能楽協会京都支部所属、京都能楽会会員。京都造形芸術大学非常勤講師。《忠三郎狂言会》代表、猿楽曾主宰。平成29年、五世茂山忠三郎襲名。平成25年文化庁芸術祭賞新人賞、平成28年京都府文化賞奨励賞、平成30年度京都市芸術新人賞受賞。