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KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭 2017 ハイナー・ゲッベルス×アンサンブル・モデルン 「Black on White」 [日本初演]

ドイツを拠点に80年代から活躍する現代音楽家ハイナー・ゲッべルスが、ついにKYOTO EXPERIMENTに登場!

各地の国際フェスティバルでも上演されてきた 音楽劇『Black on White』は、
世界トップレベル の室内合奏団「アンサンブル・モデルン」のために
書き下ろした作品で、楽団員がパフォーマー ともなって、時に楽器を交換しながら、
現代音楽 やフリージャズといった多彩な楽曲を次々と 演奏する。
劇中ではハイナー・ミュラーがエドガー・アラン・ ポーの小説「影」を読み上げる声が幾度となく 挿入される。
東ドイツの重要な劇作家、ミュラーの 演劇作品で音楽を担当してきたゲッベルスからの、
ユーモアあるレクイエムのようにも聞こえてくる。

ハイナー・ゲッベルス――ポリフォニーの空間

「いま」と「ここ」を舞台上で結晶させようとする表現者にとって、演劇が持ち続けてきたヒエラルキー(テクス ト優先という序列)からの脱却は重要な出発点となる。こうしたパフォーマンスをポストドラマ的と名づけるなら、 ハイナー・ゲッベルスもそれに寄与してきた有力な音楽家・演出家であろう。彼がひとりで作曲・編曲、テクスト・ コラージュ、演出を兼ねる上演群からは、語り手と作家(音楽家ゲッベルス)と歌い手/演じ手によるモンタージュ 的な進行の中に、明確に領域横断的な創造が感じられるからだ。
ハイナー・ミュラーの優しく、静かな声が舞台上に流れる。これ以上語ることは止そう。『モモ』の作者ミヒャエル・ エンデは「小学生でさえ作者のメッセージは何か」を尋ねる時代になったと嘆く。ゲッベルスとともに僕は 言おう。「まず参加して体感しよう」と。
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市川明(大阪大学名誉教授 ドイツ文学・演劇研究者)

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ハイナー・ゲッベルス Heiner Goebbels

作曲家、演出家。1952年生まれ。フランクフルト・アム・マインを拠点に活動。 1990年代のはじめより、『Black on White』(出演:アンサンブル・モデルン)などの独創的な音楽劇 《ミュージック・シアター》を作曲、演出。作品は主要な国際フェスティバルで発表され高い評価を得 てきた。自らもメンバーである実験的ロックグループCassiberの活動や、パリのポンピドゥー・セン ターをはじめとする多くの美術館や展覧会でインスタレーション作品も発表している。現在は、ギー セン大学応用演劇学科教授およびヘッセンのシアター・アカデミーの代表を務める他、グラミー賞に2 回にわたりノミネートされ、2012年には世界で最も権威のある演劇賞と言われる国際イプセン賞、バー ミンガムシティ大学から名誉博士号を授与されるなど、数多くの国際的な賞を受賞している。 
www.heinergoebbels.com

アンサンブル・モデルン Ensemble Modern
1980年に結成されたアンサンブル・モデルンは、世界でもトップレベルの現代音楽合奏団。現在、10か 国から20人の楽団員が活動しており、団員の異なるバックグランドが、楽団内の豊かな文化を作り上げ ている。フランクフルト・アム・マインを拠点に、指揮者や音楽監督を定めず、団員全員でコレクティ ブに活動。個性的で独特なレパートリーを持ち、ザルツブルク音楽祭、ベルリン音楽祭、リンカーン・ センターフェスティバル(ニューヨーク)、フェスティバル・ドートンヌ・パリ、ルツェルン音楽祭といっ た国際フェスティバルの他、ケルン・コンサートホール、コンツェルトハウス・ベルリン、エッセン・コンサー トホールをはじめとする、世界的に有名なホールで年間約100公演を行う。ジョン・アダムス、ハイナー・ ゲッベルス、ジェルジュ・クルターグ、ジェルジュ・リゲティ、カールハインツ・シュトックハウゼン、 スティーヴ・ライヒ、フランク・ザッパといった著名アーティストとの、長年にわたる冒険的な試みも高 く評価されている。CDアルバムの多くは、エコー賞やドイツレコード批評家賞を受賞した他、グラミー 賞にも複数回ノミネートされている。
www.ensemble-modern.com