琉球王朝の華
組踊 (くみおどり) 春秋座公演
組踊
組踊とは、唱え(セリフ)と音楽・所作・踊りにより構成される、琉球国の宮廷で生まれた伝統音楽劇。琉球王の代替わりに、新国王任命のために訪れる中国の冊封使をもてなすため、十八世紀初頭の踊奉行・玉城朝薫(たまぐすくちょうくん)によって創作されました。能を参考に、沖縄の音楽や伝説を取り入れて作られ、その独特の味わいは、日本はもちろん世界にも類を見ない芸能として、2010年にはユネスコ無形文化遺産に登録されました。
人間国宝の二人が出演!
宮城能鳳(みやぎ・のうほう)
組踊立方の人間国宝で、琉球舞踊でも国指定重要無形文化財として総合認定を受ける。幅広い役柄をこなすが、特に女方の完成された演技は高く評価される。沖縄県立芸術大学名誉教授。
西江喜春(にしえ・きしゅん)
歌・三線奏者。人間国宝。華やかな音色が特徴的な安冨祖流で、しっとりと艶やかな声は、飴色の歌声と絶賛される。もと沖縄県立芸術大学教授で、多くの後進を育成。
演目
組踊「手水の縁(てみずのえん)」
文学者でもあった平敷屋朝敏(へしきや・ちょうびん 1700~1734)の作。男女の一途な愛を描いた作品で、劇中に美しい音楽がちりばめられていることからも人気の作品です。
【あらすじ】青年・山戸は、春の野辺に花見に出掛け、玉川で髪を洗う美しい娘・玉津を見初めます。そして玉津に、手で水をすくって飲ませてくださいと声を掛けます。恥ずかしさで断る玉津でしたが、一途にかき口説かれて、ついには手水を汲んで飲ませます。二人の間には恋が芽生え、再び会うことを約束します。しかし再会を果たした夜、二人の仲が玉津の父親に知られ……。
琉球芸能の次世代を担う若手二人が、山戸・玉津の若く一途な愛を演じます。
配役
山戸 東江裕吉
玉津 新垣悟
山口の西掟 川満香多
志喜屋の大屋子 宇座仁一
門番 田口博章
後見 嘉手苅幸代、山城亜矢乃
地謡
歌・三線 西江喜春、神谷大輔、玉城和樹
箏 宮里秀明
笛 宮城英夫
胡弓 又吉真也
太鼓 比嘉聰
組踊「女物狂(おんなものぐるい)」
能「隅田川」に題材をとる、組踊の創始者・玉城朝薫(たまぐすく・ちょうくん 1684~1734)の作。子を失った母親の物狂いを叙情豊かに描く。主役の母役は、女方の第一人者で人間国宝に指定される宮城能鳳が演じます。
【あらすじ】首里や那覇で子どもをさらって地方に売る人盗人は、いつものように可愛い子を見つけ、人形であやして連れ去ります。遠く歩き、一夜の宿を借りた寺で盗人の悪事が露見し、助かった子どもは寺で座主の弟子として暮らすこととなりました。月日が流れ、我が子を失って気がふれた母は、方々をさまよい歩いて、ついに寺へとたどり着きます。
能の「隅田川」に取材しながらも、能とは異なる展開・結末もみどころです。
配役
母 宮城能鳳
人盗人 宇座仁一
座主 川満香多
小僧一 東江裕吉
小僧二 新垣悟
後見 嘉手苅幸代、山城亜矢乃
亀松 山内昌臣
童一 伊波心
童二 古堅聖也
地謡
歌・三線 西江喜春、神谷大輔、玉城和樹
箏 宮里秀明
笛 宮城英夫
胡弓 又吉真也
太鼓 比嘉聰
解説
解説:茂木仁史(国立演芸場プロデューサー)
聞き手:田口章子(京都造形芸術大学教授)
制作:大城学、茂木仁史
助成
芸術文化振興基金