テーマ研究I「近代日本語における〈声〉と〈語り〉」
テーマ研究Ⅲ「『マルチメディア・シアターの再定義』をめぐる実践的研究」 『繻子の靴』上演のための実践的研究
フランスの劇作家、ポール・クローデル(1868~1955)が大使として滞日中に完成させた『繻子の靴』は、「1日目」~「4日目」と名づけられた四部構成による戯曲です。
大航海時代の新旧両世界を舞台にした、若き人妻ドニャ・プルエーズと騎士ドン・ロドリックの、カトリック世界では許されない恋を描いた作品で、全曲上演すれば15時間を超える大作です。
昨年度より研究会および劇場実験を重ねてきた【近代日本語における〈声〉と〈語り〉】をテーマに、このフランス語韻文劇の伝統と日本の伝統演劇を意識し翻訳された舞台の日本語が実際に上演されるとき、どのような可能性が見えてくるのかを探ります。
同時に、【「マルチメディア・シアター」の再定義をめぐる研究】として、戯曲のもつ壮大な世界観を、映像/音/光という要素で追究します。
この二つの成果を、ワーク・イン・プログレスとして上演しました。
15:00~16:00 解説
渡邊守章、浅田彰(批評家/京都造形芸術大学大学院学術研究センター所長)
16:00~17:00(予定) 『繻子の靴』上演
1日目第5場(「聖母への祈り」)、2日目第13場(「二重の影」)・第14場(「月」)、3日目第8場(「プルエーズの夢―守護天使」) より抜粋上演
作 ポール・クローデル
翻訳・構成・演出 渡邊守章
映像・美術 高谷史郎
出演者
翻訳・構成・演出 渡邊守章
映像・美術 高谷史郎
出演 鶴坂奈央 千代花奈 永井茉梨奈
音楽 原摩利彦
メディア・オーサリング 古舘健
衣裳 清川敦子(atm)
所作指導 花柳綱仁
照明監修 岩村原太
照明 塩見結莉耶 木内ひとみ 川島玲子
劇場スタッフ 小坂部恵次 楢崎英三 小山陽美 神家洋志郎
渡邊守章(演出家、フランス演劇研究/京都造形芸術大学舞台芸術研究センター客員教授)
1933年生まれ。東京大学教授、放送大学副学長、パリ第三大学客員教授、東京大学名誉教授、京都造形芸術大学舞台芸術研究センター所長等を経て、現職。専攻は仏文学・表象文化論。演出家。演劇企画「空中庭園」主宰。2005年発行の訳書、クローデル『繻子の靴』(上・下)にて、毎日出版文化賞、日本翻訳文化賞、小西財団日仏翻訳文学賞受賞。春秋座では、2008年7月に朗読オラトリオ『繻子の靴』(野村万作・萬斎出演)を、2013年3月に『繻子の靴』「2日目第13場」の「二重の影」を演出。
高谷史郎(マルチメディアアーティスト)
「ダムタイプ」の創設メンバーとして、パフォーマンスやインスタレーションの制作に携わり、映像、照明、グラフィックや舞台装置のデザインなどを手がける。個人としての活動も多く、近年のおもな作品に、2012年 パフォーマンス「CHROMA」(びわ湖ホール、他)、2013年 シャルジャ・ビエンナーレ(アラブ首長国連邦)、坂本龍一とのコラボレーションによるインスタレーション「water state 1」「LIFE – fluid, invisible, inaudible… ver.2」(山口情報芸術センター)など。渡邊守章演出作品では、「マラルメ・プロジェクトⅠ~Ⅲ」(2010-2012年)、「二重の影」(2013年)の映像・美術を担当。