1. HOME
  2. 読みもの
  3. KUNIO10『更地』 濱田龍臣×杉原邦生(演出家)インタビュー

大学開学30周年記念・劇場20周年記念公演 KUNIO10『更地』 濱田龍臣×杉原邦生(演出家)インタビュー

インタビュー

2012 年、杉原邦生演出で大きな反響を呼んだKUNIOの代表作『更地』。杉原の大学時代の恩師である劇作家・演出家 太田省吾氏の『更地』は、初老の夫婦がかつて自分たちの家が建っていた更地を訪れ、過去の記憶を旅する物語。今回は戯曲の設定と異なる若い俳優をキャスティングし“未来”への希望に向かう新たな物語として新たに立ち上げます。
公演を前に出演者の一人、濱田龍臣さんと演出家の杉原邦生さんにお話しを伺いました。
聞き手:井出亮  舞台芸術研究センター プロデューサー  
(このインタビューは2021年6月に行ったものです)

 

― 杉原さんと濱田さんは昨年、『オレステスとピュラデス』で初めて一緒に仕事をされたのですね。まず、杉原さんにお伺いしますが、一緒に仕事をする前と後で濱田さんの印象は変わりましたか?

杉原 僕だけかもしれないですが、実は演劇人って子役という存在にあまりアンテナを張っていないんじゃないかと思うんです。演劇という枠組みの中では、何歳の俳優が子ども役を演じてもアリになるじゃないですか。だから子ども役に実年齢の子役を使わないといけないという発想が先行しないんです。そういう感覚でずっときているので、プロデューサーから濱田くんというアイデアが出てきた時に名前と顔がすぐには一致しなくて。写真を見て「あの、かわいらしい子ね!」と。
子役の頃はふわっとした天使的なイメージですよね。髪の毛もくりくりだったじゃん?

濱田 そうですね。

 

  濱田龍臣さん(『更地』の稽古場にて)

 

杉原 そういう印象だったのに、実際に会って稽古が始まってみると、持ち前のかわいらしさはもちろんありますけど、俳優としての芯がしっかりあるなと思いました。特に印象的だったのは良い意味で飄々としているんです。
あまり、ぐちぐち考えない。もちろん役について台本を読み込んだり、どう芝居として作り上げていくか考えていることは伝わってくるんですけれど、とりあえずやってみる! 上手くいかなければ次! と切り替えがスッとできる。だから演出家としてはすごくやりやすい。
そして、本番の舞台に立った時に説得力があるんです。『オレステスとピュラデス』のときはまだ舞台出演の経験も多くなかったのに、きちんと舞台に存在できていた。しかもあの作品は僕のムチャぶりで、何もない広大な舞台空間に身体ひとつでポンッと放り出されるような演出だった。なかなかできないですよ。

濱田 ハハハ(笑)。

― 濱田さんは『オレステスとピュラデス』の上演時は20歳ですよね。その若さで、あんなにも板に付いたお芝居ができるということに僕もとても衝撃を受けました。

杉原 僕もそれが一番、印象的でした。かわいいだけのふわふわエンジェルじゃなかったんだなと(笑)。

―  濱田さんは杉原さんとお仕事をする前と後での杉原さんの印象はいかがですか?

濱田 演出家さんというのは年齢がもう少し上の方というイメージがあったので、お話があった時に邦生さんのことを調べてみたら「あ、むっちゃ若い方だ!」って。とても新鮮でした。どんな舞台になっていくんだろうな~とワクワクしながら楽しみにしていたんです。そうしたらすごく素敵な方で、稽古場も常に笑顔が絶えなくて。
邦生さんは普段、とてもニコニコと楽しくされているのに、お芝居の話になると場をグッと締めるんです。その稽古場全体の空気のもっていき方がすごく良くて。その空気感で役者もスタッフ方も引き締めて下さるので、お芝居がすごくやりやすい稽古場でした。

― 杉原さんの稽古場はいつも笑いが絶えないですよね。

杉原 僕がふざけたくなっちゃうし、笑っちゃうんですね(笑)

― おそらく珍しい稽古場ですよね。濱田さんは杉原さんとの仕事の中で、新たに発見した自分はありましたか。

濱田 『オレステスとピュラデス』は2週間ないぐらいの公演期間でしたが、「あ、自分、楽しんでいるなー!」って、

濱 そういう気持ちで本番を過ごせたのが大きな発見でした。舞台の仕事ってすごく素敵なんだなと。前作の三谷幸喜さん演出『大地(Social Distancing Version)』の時は、とにかく必死だったのですが、今回はそれだけでなく、少し楽しむという気持ちの余裕ができたのが自分の中で発見でした。

― 沢山の映画やテレビドラマに出られておられますが、映像作品と舞台との違いはどういう風に感じておられますか?

濱田 1日の達成感がすごく違いますね。映像だと順番通りに撮影できないことが多いですが、舞台は1日でその人たちのお話が終わるので、自分の中ですごくきれいに完結するというか。それが気持ちいいなと思っていました。

杉原 でも、終わったらぐったりでしょ(笑)。

濱田 ぐったりです(笑)。あの舞台、すごかったですもんね。僕、衣装の下に濃い色のロングTシャツを着ていたのですが、袖の方からおへその上ぐらいまで汗で濃くなっているんです。

杉原 そうだったよね(笑)。

濱田 ああ、人間ってこんなに汗をかくんだって思いながらやっていました。

― それが舞台の大変さでもあるけれど、1つの人生を、その時間を生き抜くことを繰り返す楽しさを知ってしまったということですね。

濱田 毎回、「あぁ自分、頑張ったんだな~」って余韻に浸っていました。

 

『更地』は険しい崖

― 『オレステスとピュラデス』では濱田さんとダブル主演だった鈴木仁さんは当時、21歳でしたね。最近の杉原さんの舞台で、ここまで若いキャストというのはなかったですね。

杉原 そうですね。こういう大きい企画ではあまりなかったですね。演出家である僕はもちろん、おそらくプロデューサーも劇場側もある意味で冒険というか、若い才能だからこそ未知数で完成図が見えないところから始まるスリルがありました。でも実際に稽古が始まってみたら「あ、いける、いける!」って、スリルが確信に変わっていくプロセスも楽しみながらやりました。

― 再び今回、濱田さんをキャスティングされたのは、どの部分に惹かれたからですか。

杉原 演出家にとって、もっと違う面を見てみたい、こういう面も見てみたいと欲望がわく俳優は刺激的なんです。そういう期待をたっちゃん(濱田の愛称)は感じさせてくれたということですね。
本番中も日々進化していくんですよ。例えば、本番後に出す演出からのアイデアが自分の中で落ちてくると、芝居の幅も、表現自体もグッと大きくなって、お客さんにダイレクトに伝わる。そういう成長が見えたから、もう少し違うたっちゃんも見てみたいなと。
それとさっき飄々としていると言いましたが、たっちゃんは苦しむ姿を見せないのか、実際にあまり苦しんでいないのか分からないけど、悩みまくってるな~みたいなところを見たことがないんです。だから「あ~!!! 全然、わかんねぇっ!」って言ってる姿を見たいなと(笑)

濱田 ハハハ(笑)

― 演出家は役者さんの新しい引き出しや扉を開いて、新たな面を引き出してくのが仕事ですよね。ですから演出家冥利につきるというか。

杉原 そうですね。そこが、すごく楽しみだなと。それに『更地』で演じてもらう男という役の年齢設定は初老ですから、たっちゃんとだいぶ離れているので、理解できないことも多いと思うんです。でも、たっちゃんとなら、その辺も含めて一緒に作っていく楽しさを味わえるんじゃないかなと思っています。

―  濱田さんは『更地』のテキストを読まれた印象はいかがですか? 

濱田 読み切った直後の第一印象は、すごく雲みたいだなと。掴みどころがあまりなくて。でも不思議だけれど僕はその中に確かな愛を感じながら読んでいました。どのお芝居もそうですが、色々な人が観れば色々な感想が出てくるわけで、それがとても顕著に現れる作品ではないかなと思いました。だからこそ、役者がどう演じるかで色々な部分が変わってくるとは思うので、これはどうしていったらいいのかな~と。

― 掴みどころがないと。

濱田 結構、険しい崖というイメージがします。

杉原 いい滑り出しですね~(笑)。

― 今のご自身と年齢が離れた、初老の夫婦を演じるということに対してはいかがですか。

濱田 最初、本を読んだ時、「あ、えぇぇ!!」みたいな(笑)。 頭の中が??だらけでした。「え、いいんですか? 僕で」って。
でもこれは邦生さんからの挑戦状みたいなものかなと。この役を下さったのは、邦生さんが僕に対してすごく期待してくださっているんだなと感じたので。この役を稽古が始まって自分の中にどう落とし込んでいくのか。どう表現していくのか迷いながら作っていくのかなと思います。

杉原 迷って、苦しもう!(笑)。

― 濱田さんは相手役の南沢奈央さんとは以前、共演されたことがあるんですね。

 

濱田龍臣さんと南沢奈央さん(『更地』の稽古場にて)

 

濱田 姉弟役と親子役で共演させていただいていて、今回、3回目なんです。お姉さんやってもらって、お母さんやってもらって、次はお嫁さんと。

杉原 それはなかなか、すごいことだね。

濱田 はい。最初の共演は僕が10歳ぐらいのやんちゃ盛りだったのですが南沢さんはいろいろお話をしてくださって、すごく素敵な優しいお姉さんという印象でした。

杉原 僕は南沢さんの舞台は2回、観ているんです。どちらも白井晃さんの演出でしたが、透明感があるけれど芯が強いんですよ。すごく舞台で力強く見える。それなのに私はここにいる!! って主張している感じではなくて、スッと自然に立っている感じが力強いんです。
『更地』の女という役は一見、個として自立していてたくましく見えるけれど、女性として、人間としての弱さや脆さ、切実な想いが見えてくるというのが重要なんです。そういう部分も彼女ならうまく表現してくれるんじゃないかなと期待しています。

― 『オレステスとピュラデス』の時の濱田さんも一つ芯がある感じがしましたね。その2人が共演されるというのは心強いですね。

杉原 二人芝居なので、どちらにも舞台の上での存在感がきちんと備わっていないと成立しないですよね。『更地』の設定は夫婦だけれど、ある部分で親子に見えたり、若いカップルに見えたりと、見え方の幅が欲しいと思っていたんですが、2人がこれまでに姉弟役、親子役で共演していたということを後から知って、さらに「いいじゃん!」って(笑)。

 

「15秒待って」

― ところで『更地』には過去を振り返る中で、「15秒待って」という空白のシーンがありますが、15秒待つ間、何を思い、何を思い出されますか。

杉原 「15秒」に意味がある質問ですよね?(笑)うーん、「15秒待って」と言ったことはないと思いますけど、人に「ちょっと待って」と一番言うのは稽古場な気がします。

濱田 笑

杉原 自分が迷った時、1分とか3分「待って」とよく言っているなと思って。具体的な時間の数字と「待って」を合わせていうのは一番、稽古場が多いなと。ちょっと演出を考え直したい時とか、台詞をカットするか悩んだ時とか。 

― 演劇の稽古場は判断の繰り返しですよね。待ってという時は何かポイントになることを考える時ですか。

杉原 そうですね。そういう時って頭の中が回転しているんですよね。少し待ってもらって自分の中に落とし込みたい時。あとは、僕がそもそも「これ何の時間?」と思うのが嫌いなんですよ。だから人に思わせるのも嫌で。具体的な数字を伝えれば、その間待つことの目標ができるし、ちょっとトイレに行ったりもできる。稽古場での時間を無駄にしたくないんです。
沈黙する時間で思い出したのですが、太田さんって面白い人で。大学院生時代のゼミの時、一人ずつ課題の発表をして、それに対して太田さんがコメントするという授業があったんです。ある日、先輩の発表が終わった後、太田さんが「だからさ、」と言ったまま、沈黙しちゃった。
みんな何を言うんだ、何を言うんだって太田さんのコメントを待っているんだけど、太田さん自身は髪をかき上げたり、宙を見つめたり、大きく呼吸したりしてるだけ。お腹鳴り出しちゃう人もいるし(笑)。それで20分ぐらい沈黙の時間が続いて、最後の最後にみんなのことをふっと見渡して「じゃ、終わろうか」って言って、その日のゼミが終わった!!(笑)

濱田 うわー!!

杉原 今の時間はなんだったんだろう!!って。(笑)

― それは狙いがあって?

杉原 分からないですね。聞きたくてももう聞くことはできないですから。真相は闇の中、です(笑)でも、そういう時ってこちらもいろいろなこと考えるんですよね。太田さんは今何を考えているんだろう、とか、こいつどれだけお腹すいてるんだろうっていう、余計なことも含めて、いろいろと考えてしまうんです。

― 沈黙があることでいろいろなことを想像しますよね。

杉原 待ってって言われると、もちろん言った方も考えるんですけど、言われた方も考えちゃいますよね。

― そういう時間ですよね。待ってって。考える時間。思考がめぐる時間ですね。

 

恩師・太田省吾さんと杉原邦生さん

― 今、杉原さんの恩師である太田省吾さんの話がでましたが、以前、杉原さんがインタビューの中で、本学(京都芸術大学、当時:京都造形芸術大学)に在学されていた時、公演の相談をしていると必ず太田さんが来て「次はどんな悪だくみをしているんだい?」と言われたという話をされていましたね。

杉原 僕が学内のカフェで仲間と次の公演に向けて打ち合わせをしていて、ふと見ると、太田さんが横に立ってるんですよ。それで必ず「次はどんな悪だくみをしているんだ?」って聞いてくる。いやいや、悪いことはしませんよって(笑)。

― 僕も杉原さんとお仕事をする時は新しい…悪だくみとは思わないですが、こんなチャレンジをするんだ! と思いながら常にやっております。これはそういう良い意味での悪だくみですよね。そんな太田省吾さんは、杉原さんにとってどういう存在の方ですか?

杉原 ふとした時に思い出しますね、眼を感じるというか。
僕たち学生は太田さんから演劇表現の何たるかを学びました。演劇とは常に社会と繋がっている、繋がっていなければならない芸術表現だということ。作品は劇場で上演された時点で社会化される。だから、作り手側の想いは社会に対しての想いに他ならないってことなんです。そのことに自覚的でない表現は演劇として脆弱なものになってしまう。
演出プランを考えているとき、稽古期間の合間、本番を観ながらふと、今、自分がつくっているものはそういう意味でちゃんと「演劇」になっているだろうかと、考えることがあるんです。
そういう時に太田さんの眼を感じて背筋が伸びる(笑)。学生時代、自主公演の客席に太田さんがいると分かると、みんなピリッとして急に緊張しだすんです(笑)。その感覚がいまでも残っているのかもしれないですね。

― 常に意識せざるを得ない存在。

杉原 ふとした時にですね。たぶん自分が迷った時とか、これで大丈夫かなと立ち止まった時なんでしょうね。あと、報告する存在でもあります。太田さんの作品と僕の作品、作風はまったく違うんですけど、「僕はあなたから学んだことを礎に今、こういう演劇つくってます」と、たまに報告したくなるんです。

 

今、『更地』を上演する意味

 

  『更地』2012年(太田省吾作・杉原邦生演出) 撮影:清水俊洋 提供:KYOTO EXPERIMENT

 

―  杉原さんにおける『更地』の初演は2012年ですね。KYOTO EXPERIMENTのプログラムとして元・立誠小学校の講堂で上演されました。ちょうど東日本大震災の翌年で、生を力強く肯定するような、作品が持っているその部分を強調する演出だったように思いました。今年、再演予定の計画は前からあったのかもしれませんが、改めて今この2021年に『更地』を再演するということについていかがですか。

杉原 ずっと再演したいと思ってタイミングを見計らっていたんです。『更地』は太田省吾さんが1995年の阪神淡路大震災の翌年にも上演して話題になった作品です。

 

    『更地』初演1992年(太田省吾作・演出) 写真提供:太田美津子

 

2012年の東日本大震災の翌年に僕が演出した時は実際に家を失ってしまった人や、それまで生活していた場所にいられなくなった人が沢山いた。物理的に<更地>のような場所が沢山できてしまった。そんな状況下での上演でした。
だからこそ、空間的にも、小学校の講堂という劇場ではない場所を劇場にしていくところからデザインしていった。イントレやトラス(照明などを吊るための鉄製の機材)を組んで照明を吊って、まさに避難所で演劇をやっているみたいな感じ。

 

濱田 うわー。

杉原 演劇のための空間から作っていく、そのプロセスを体現したような上演にしたかったんです。
2021年のいまは、また違った意味での〈更地〉に直面している感じがします。感染症という目に見えない脅威によって、さまざまな価値観が揺さぶられ、日常そのものが一変した。こんな状況が1年半も続くなんて思いもしなかった(2021年7月現在)。そんな中、演劇をはじめとする舞台芸術もさまざまな心無い言葉で踏み荒らされ、公演の中止や休演は後を絶たず、存在そのものが〈更地〉にさせられたような感覚です。だからこそ、自分にとっての演劇の原点に立ち返ることがアーティストとして自然な気がしたんです。演劇の土台が揺らいでしまっているいま、これまでのことを振り返り、これから先のことを構築し直してみたい。改めて、劇場で演劇を立ち上げたい。そう考えた時、この『更地』だったんです。
『更地』は、長年連れ添った初老の夫婦が、かつて自分たちの家があった場所にやってきて、過去を回想しながらそれらを組み直し、この先の未来をどう生きるのか問い直していく物語だと思っています。そういう作品を今上演することに大きな意味を感じています。
加えて、今年は京都芸術劇場の20周年ということで、記念公演のお声がけをいただいたんですが、何を隠そう、この劇場の柿落とし公演で観た『更地(韓国版)』(※studio21での上演)が僕にとっての太田作品との出会いでした。そんな素敵な巡り合わせも、この『更地』という作品が作ってくれたものだなと感じています。

 

京都公演にお越しになる皆様へ

― 最後に春秋座にお越しになるお客様へメッセージをお願いします。

杉原 たっちゃん、京都は初めて?

濱田 映像では何度かあります。太秦でも撮影をしました。でも舞台では初めてなんです。
舞台は今回で4回目になるのですが、ただただ舞台上で必死にもがいて、苦しんで頑張りたいと思います。今回は特に邦生さんからの挑戦状だと思って、その中で自分の答えを見つけ、邦生さんを含め、観に来て下さる皆様にこうだ! と突きつけたいなと思いますので、足を運んでいただいて受け止めに来てくださったら嬉しいです。

杉原 実は僕の人生初演出が、ちょうど今のたっちゃんと同じ歳の時で、春秋座だったんだよ。

濱田 そうなのですね!

杉原 そこから数えると春秋座での上演は13本目です。『更地』をご覧になったことがないという方にはもちろんですが、今回はキャストも劇場空間も変わって、また新たな印象になると思いますので、9年前の上演を観てくださったお客さまにもぜひもう一度観ていただきたいです。
そして、京都芸術大学に通っている学生の皆さんにもぜひ観ていただきたいですね。卒業生の演出家がどういう作品をつくっているのか、俳優を目指す人にとっては自分と同じ世代の俳優が今、どういう芝居をやっているのか、それぞれ直に観ることができる、すごくいい機会だと思いますし、刺激になるんじゃないかと思います。何よりも、演劇を学んでいく上で、太田さんの作品は知っていて、観ておいて損のないものだと思うし、僕は今こそ上演すべき作品だと思っているので、ぜひ観てほしいです。劇場に足を運んで一緒に空間を共有してほしいなと思っています。

 

 

濱田龍臣(はまだたつおみ)
子役時代から大河ドラマ『龍馬伝』や『怪物くん』などで注目を集め、多数の映画やドラマに出演。16 歳で史上最年少のウルトラマンとして『ウルトラマンジード』主人公に抜擢。主な出演舞台作品は三谷幸喜作・演出『大地(Social Distancing Version)』、杉原邦生演出『オレステスとピュラデス』など。2020 WOWOW presents【勝手に演劇大2020】において新人賞を受賞。映画『ハニーレモンソーダ』が劇場公開中。ドラマ、バラエティなど多方面で活躍中。

 

演出・美術 杉原邦生(すぎはらくにお)
演出家、舞台美術家。KUNIO 主宰。京都造形芸術大学映像・舞台芸術学科、同大学院芸術研究科修士課程修了。2004 年、プロデュース公演カンパニー“KUNIO”を立ち上げる。近作に『水の駅』、『グリークス』、スーパー歌舞伎II『新版 オグリ』、シアターコクーン『プレイタイム』、PARCO 劇場オープニングシリーズ『藪原検校』などがある。2021 年は、大学の恩師でもある太田省吾の名作『更地』の再演に続き、さいたまゴールド・シアターでの『水の駅』が控えている。
https://kunio.me/