京都芸術大学 2024年度 公開連続講座 日本芸能史「大地母神信仰と芸能・芸道」
日本は、女神信仰に起源を持つ女性の霊性が守ってきた国である。女神信仰は、大地や海に依存して生きてきた人類が普遍的に育ててきた信仰の表現であった。日本の芸能も芸道もこの女神の祭りから誕生した。芸能が神を迎えた巫の身体所作が人間のための娯楽化を強めていったものとすれば、芸道は神を迎えるための人工物の依代を作る技術が人間の生の充実に向けて洗練されていったものである。
神は、本来目には見えない万物の霊魂のなかで、人間に幸福をもたらす存在である。日本人の神の認識は、霊魂の認識より遡るが、霊魂の認識によって神も動くようになった。この段階で神を招くための祭りを催すシャーマンが誕生した。シャーマンの演じる神を可視化する所作から神の芸能が誕生し、神の止まる座(依代)から芸道が生まれた。
大地母神に代表される女神信仰が男神中心の新しい信仰にとって代わられる現象は世界的規模でみられる。しかし、日本人は地母への信仰をそのままに保存してきた稀有の民族である。この精神はグローバリズムが叫ばれる現代においてこそふりかえられなければならない。
企画・コーディネーター 田口章子 (京都芸術大学教授)
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公開連続講座 日本芸能史
前期 前半(全7回) 会場:春秋座
1 | 4月15日 | 神・祭り・芸能・芸道の誕生 | 諏訪春雄 |
2 | 4月22日 | 淡路人形 | 淡路人形座 |
3 | 4月29日 | 華道 | 池坊専好 |
4 | 5月13日 | 日本舞踊 | 藤間勘十郎 |
5 | 5月20日 | 沖縄芝居 | 金城真次 |
6 | 5月27日 | 落語 | 桂吉坊 |
7 | 6月3日 | 壬生大念佛狂言 | 壬生大念佛講 |
前期 後半(全7回) 会場:京都芸術大学内 教室
1 | 6月17日 | 日本人の水と火の記憶 | 諏訪春雄 |
2 | 6月24日 | 演劇 | やなぎみわ |
3 | 7月1日 | 木ノ下歌舞伎 | 木ノ下裕一 |
4 | 7月8日 | 大道具 | 中田節 |
5 | 7月15日 | 能 | 天野文雄 |
6 | 7月22日 | 衣裳 | ひびのこづえ |
7 | 7月29日 | 常磐津 | 常磐津都㐂蔵・都史 |
後期(全14回) 会場:春秋座
1 | 9月23日 | 祭りと性 | 諏訪春雄 |
2 | 9月30日 | 狂言 | 茂山忠三郎 |
3 | 10月7日 | 幇間 | 悠玄亭玉八 |
4 | 10月21日 | 上方舞 | 山村友五郎 (聞き手 田口章子) |
5 | 10月28日 | 宝塚歌劇 | 植田紳爾 |
6 | 11月11日 | アイヌ芸能 | 千葉伸彦 |
7 | 11月18日 | 歌舞伎 | 田口章子 |
8 | 11月25日 | 芸能・芸道と女性 | 諏訪春雄 |
9 | 12月2日 | 宝塚歌劇 | 榛名由梨 (聞き手 玉岡かおる) |
10 | 12月9日 | 義太夫 | 鶴澤津賀寿・竹本京之助 |
11 | 12月16日 | 京舞 | 井上八千代 (聞き手 田口章子) |
12 | 12月23日 | 琵琶 | 奥村旭翠 (聞き手 田口章子) |
13 | 1月20日 | 新内 | 新内志賀 |
14 | 1月27日 | 講談 | 宝井琴桜 |
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◎京都市左京区に震度4以上の地震が、当日発生した場合、
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