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作:アレッサンドロ・バリッコ/訳:草皆伸子(白水社刊) 海の上のピアニスト NOVECENTO Un monologo

あらすじ
大西洋を往復する豪華客船ヴァージニアン号――。その一等船客用のダンスホールのピアノの上に、レモン箱に入れられた、生まれて間もない赤ん坊が捨て置かれているのを、黒人機関士のダニー・ブードマンが見つけた。ダニーは、その赤ん坊に自身の名前、箱に書かれていた文字、そして1900年という新世紀最初の出来事にちなんで、「ダニー・ブードマン・T・D・レモン・ノヴェチェント」という立派な名前をつけて、わが子のように大切に船の中で育てる。やがてノヴェチェントは、この船の専属楽団のピアニストとなった。しかし船で生まれた彼は、ただの一度も陸地を踏んだことがなかったのだ。だが彼が弾くピアノは前代未聞の音楽――それはいまだかつてこの世に存在せず、彼がピアノの前から離れた瞬間にはもう存在していない音楽だった。評判を呼び、全米一のジャズピアニストが決闘を挑み船に乗り込んで来たが、ノヴェチェントは完膚なきまでにうちのめしてしまう。そんな彼の天才ぶりがユーモラスに描かれる物語の前半から、この天才ピアニストにも解決できない人生の課題すなわち、どうしても船を降りることができない、という物語の後半へと続いていく。ようやく陸地に降り立つ決心をしたノヴェチェントだったが、ニューヨークの果てしない街並みを目にして、世界のあまりの大きさに恐れをなして船に逆戻りしてしまう…..。

「道一つとったって、あんなにたくさんある。君たち陸の人間は、どうやって自分の進むべき正しい道を見分けられるんだい?」

私たちは世界の大きさに敢然と立ち向かう勇者なのか? それとも世界の大きさに気づきもしない愚者なのか? ノヴェチェントという人物を通して、つきつけられるこの問いは、とりもなおさず私たちの永遠のテーマともいえる。

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【出演】北翔海莉、大井健(鍵盤男子)、中村匡宏(鍵盤男子)
【翻訳】 草皆伸子
【上演台本・演出】星田良子
【作曲・音楽監督】中村匡宏
【美術】 齋藤浩樹・加藤藍子 【照明】 阿部典夫 【音響】 秦 大介 【ヘアメイク】 風間裕子 【舞台監督】 助川順子
【制作】 佐野仁志 【プロデューサー】岡本多鶴

令和元年度 (第74回)文化庁芸術祭参加公演