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P.P.Pasolini's AFFABULAZIONE
騙り。(かたり)

イタリアの詩人・映画監督として知られるパゾリーニが遺した舞台戯曲本邦初翻訳初演第2弾!劇詩人パゾリーニが人生を彷徨さまよう〈父〉を描く美しくも悲しい詩劇、第2弾!

 

作 ピエル・パオロ・パゾリーニ
翻訳 石川若枝
構成・演出 川村 毅
衣裳・美粧 宇野亜喜良

 

ピエル・パオロ・パゾリーニ

1922年イタリア・ボローニャで、ファシスト軍人の父と元教師の母の長男として生まれる。飛び級でボローニャ大学文学部に入学、ロベルト・ロンギに師事。ファシスト政権におけるイタリア語統一の中で方言での表現を模索し、20歳で処女詩集「カザルサ詩集」を自費出版。22歳の時、方言による戯曲『フリウリのトルコ人たち』執筆開始(没後76年発表)。1956年フェデリコ・フェリーニ監督より「カリビアの夜」共同脚本の依頼を受けたのをきっかけに、次々と映画作品を発表、国際的評価を得る。75年『ソドムの市』撮影直後、ローマ郊外の海岸で他殺体で発見されたが、事件の真相は未だ不明。享年53歳。

今年2012年はパゾリーニ生誕90年。偶然だが川村毅は53歳になる。昨年の『豚小屋』につづくパゾリーニ作品上演の第二弾である。
パゾリーニ監督映画作品『アポロンの地獄』(原題:オイディプス王)と同時期の1969年に発表されたこの戯曲『Affabulazione』の原題の意味は、「観客が作品に何かを信じるよう導かれる状態/プロセス」「教えを孕んだおとぎ話(嘘)」「観客はかたり物に確信させるようにかたりしめられる」というような独特なニュアンスがあり、解説書等では『寓話』『寓意』『讒言』『ナレーション』等と訳されている。

 

あらすじ

父親(手塚とおる)はブルジョワの実業家であるが、心身に変調をきたし、所有するミラノ郊外の別荘に、母親(妻)(大沼百合子)、息子(谷部央年)とともに滞在している。
プロローグ。ソフォクレスの影(笠木誠)が騙る。

皆さんに話しかけるのは、ソフォクレスの影。
私はみずからの意思でここにいる、
あまりに難しく、あまりに易しい言葉の門出を祝うため。
歴史上最悪の時期にある社会
の観客にとっては難しい、
数少ない詩の読者にとっては易しい言葉。
よく耳をすませて下さい。
それだけです。あとは
皆さんなりに追っていただきたい、
終わるけれど始まらないこの悲劇の
少々破廉恥な成行きを -
私の影が再び登場するまで。
そのとき状況は変わるでしょう
そしてこれらの詩句は、ある客観性をもち
ゆえにふさわしい恩寵を得るでしょう。

父親はある夢を見たことをきっかけに執拗に息子を解明しようとする。
宗教に関心のなかった父親は、神父(真那胡敬二)に救いを求め、降霊術師(蘭妖子)に息子の存在を訪ねる。
息子の恋人である少女(河合杏南)を、父親は自分も誘惑しようとしている娼婦だと言う。
遂には息子を殺してしまったらしい父親は浮浪者となり初めて乞食(中村崇)に心をひらく。全てを見つめる天使(柊アリス)。

 

出演

手塚とおる/谷部央年(俳優座) /河合杏南/大沼百合子/笠木誠/中村崇/柊アリス/真那胡敬二/蘭妖子

企画・制作 ティーファクトリー
主催 京都造形芸術大学 舞台芸術研究センター
後援 イタリア文化会館-大阪