平成二十四年 松竹大歌舞伎
演目について
歌舞伎のみかた
ご好評をいただいている歌舞伎のみかた。今回は市川猿弥が楽しいトークで、歌舞伎の魅力をより分かりやすく、より親しみやすくご案内いたします。そして今回の演目『熊谷陣屋』『女伊達』の見どころなども合わせてご紹介いたしますので、どうぞご期待下さい。
熊谷陣屋
源平争乱の時代。一の谷の合戦で源氏の熊谷直実は平敦盛を討ち取ります。熊谷は自らの陣屋に戻り、妻の相模と敦盛の母藤の方の前で敦盛討死の様子を語ります。やがて義経が敦盛の首実検にやって来ます。熊谷が敦盛の首を差し出すと、驚く藤の方と相模。義経は敦盛の首と言いますが、実は熊谷の子小次郎の首でした。熊谷は義経の意向を受け、また藤の方への旧恩に応えるため、敦盛の身替りとして我が子を犠牲にしたのでした。子を失った親たちの悲しみと戦乱の世の無常が胸をうつ重厚な義太夫狂言の名作に市川右近が取り組む注目の舞台です。
女伊達
舞台は新吉原の仲之町。そこへ尺八を差した女伊達が、喧嘩相手の男伊達をあしらいながら、颯爽と登場します。そして男伊達の手を振りほどきながらのクドキとなり、秘めた恋心をそれとなく明かしていく振りとなります。やがて男伊達、若い者との立廻りをみせながらの踊りとなりますが、この所作ダテの件は『女伊達』の大きな見どころのひとつです。市川笑也が勤める華やかな長唄舞踊をお楽しみ下さい。