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高校演劇コンクール近畿大会優秀校
第22回「春秋座」招待公演
『演じる高校生』上演校インタビュー

春秋座のこけら落とし以来毎年開催し、今年度で22回目をむかえる『演じる高校生』。今回の上演校は、4年ぶり4度目の出演となる滝川第二高等学校(兵庫)と、初出演の大阪府立岸和田高等学校の2校。高校演劇コンクール近畿大会で最優秀校と優秀校を受賞したこの2校が、春秋座の本格的な舞台で躍動します。
上演に先立ち、両校の演劇部のみなさんに、公演への意気込みや普段の活動の様子、上演作品についてお話を伺いました。


滝川第二高等学校(兵庫)
『リセマ達』 作:いぐりんとその仲間達

—— 今回の作品のあらすじ、見どころを教えてください。
 今回、上演させていただく『リセマ達(ら)』は、ゲーム用語の「リセマラ」を題材とした作品です。皆さんは“リセマラ”という言葉をご存じでしょうか? 「リセマラ」とは「リセットマラソン」の略称で、ゲームを始めるときに引く無料ガチャで『より強いキャラを当てることができるまでリセットを繰り返す』ことを指す言葉です。
通っている高校の球技大会が何度も繰り返されているという違和感に、主人公の「木下紗月(サツキ)」が気づくところから物語が始まります。クラスではあまり目立つ印象のない、いわゆる「陰キャ」のサツキ。日々が繰り返されていることに周りのクラスメイトは気づいていません。何回もリセマラが起こる中、少しずつ自発的に行動していくサツキでしたが・・・、ある日、サツキにとって大きな事件が起こります。
芝居の見どころとしては、クラスの皆がリセマラするシーンと、サツキが自分の気持ちをクラスメイトに伝えるシーンです。何度も練習を重ねてきたので、お楽しみに!

—— 制作過程で苦労した点や工夫した点を教えてください。
苦労した点は、ラストをどう終えるかというところです。ストーリーは、テーマである「リセマラ」から紡いでいったのですが、部員でエンディングをどうするか、なかなか決まりませんでした。特に、初演のラスト10分と、近畿大会のラスト10分では、印象ががらりと変わりました。芝居が作られていく中で、長セリフがごっそり変わったところもあって、皆で試行錯誤して次第に今の形になっていったという印象があります。
工夫した点は、役者が19人いるのですが、ミザンス(舞台上での役者の位置関係)について、客席からの見え方や机の配置、人物の高低差などを工夫したことです。最大18人が同時に舞台に出るシーンでは、その役者も顔がかぶらない位置などを調整しました。

—— 演劇部はどんな雰囲気のところですか?
一言で言うと「うるさい」演劇部だと思います(笑)。とにかく元気で騒がしくて、本番前でも「パワー」「パワー」と男子連中は叫んでいますし、良い意味で緊張感がありません。だからこそ、活気ある芝居が生まれたのだとも感じます。直前練習でも、新しいネタを放り込んできたり、セリフのトーンを変えてきたり、皆、気が抜けません。日々変化、成長している部活動だなぁと感じます。

—— 春秋座での上演に期待していることを教えてください。
春秋座は、4年前に先輩たちが出演したことがあります(2019年『沈着』)。現役部員は、春秋座に行ったことがないので、どのような舞台なのか、どういった演出が出来るのか、とても楽しみにしています。写真や動画でしか観たことのない舞台で、部員たちが大暴れできることを今から期待しています。そして、私たちは地区大会・県大会・近畿大会と、ずっと「金曜日」の上演順を引いたので、平日開催ばかりで友人や家族になかなか観てもらうことが出来ませんでした。春秋座という大舞台でようやく観てもらえることが何よりうれしいです。

—— 最後に読者の皆さんに一言お願いします。
この芝居を通じて、皆様に「今を生きる大切さ」や「失敗や後悔を超えて“明日”に踏み出す勇気」をお届けしたいと思います!

 


大阪府立岸和田高等学校
『オドリ・バリデ・ジュー』 作:鈴木研太(補作:井原一葉)

—— 今回の作品のあらすじ、見どころを教えてください。
 「大阪万博応援アイドルオーディションに向け日々稽古を重ねる地下アイドルたちの劇」で、我々演劇部は大会に挑もうとしていた。しかし脚本を担当する部長は筆が進まず、他の部員は遊んでばっかりで思い通りに上手くいかない。どうしよう。私たちがいるのは地下かな、それとも、地底かな。地上も空も宇宙も別世界。それでもこの場所で、この人たちとやりたいって思うのは、どうしてなんだろう。
 みどころは、どこまでも続く劇中劇のループのなかで、アイドルと演劇部、地上と地下、小さな問題と大きな問題、現実と虚構、様々な境界線が曖昧になっていき、観客の皆さんに考えてもらえるところです。独特なフレーズのセリフにも注目です。

—— 制作過程で苦労した点や工夫した点を教えてください。
 自分の役がその時何を考えているかを考えて、それに合わせた細かい動作をすることを工夫しました。すごくリアルな作品なので、暗いシーンをしたあとにその空気が抜けなくて、初めの方は稽古をしたあと、イライラしたり悲しくなったりしました(笑)。 でも、練習も進んで工夫したりする余裕がでてきたので、今ではもう大丈夫です!

—— 演劇部はどんな雰囲気のところですか?
 全員が優しくて、演劇に対して真剣ですが、学校の中ではあまり目立っていません(笑)。他の部活の生徒からすれば何をしているのか、わからないと思います。でも中に入った人にしか分からない独特な絆があると思います。稽古、打ち合わせやリハーサルで長い時間一緒に行動するので、どこの部活よりも深い交流ができていると思います。その日にしないといけないことをした結果ですが、決まったメニューをこなすのではなく、一日一日違ったことをしているのも理由の一つだと思います。

—— 春秋座での上演に期待していることを教えてください。
 大きな舞台で演技できることが楽しみで、すごくワクワクしています。奈落や廻り舞台をどうしたら使えるか、すごく考えました(笑)。スタッフさんとの打合せを終えて、さまざまな提案をしていただき、大会とは少し違う、春秋座でしかできない舞台づくりにチャレンジする予定です。どんな仕上がりになるのか、自分たちも想像できないところがあるので、とても楽しみです。
 芸術の研究についても、興味を持つことができました。私達の作品が舞台芸術のさまざまな視点から分析されたら、どのような解釈や考察が生まれるのか、知りたくなりました。
 また、近畿大会では観ることができなかった、滝川第二高校さんの作品を観ることもとても楽しみです!

—— 最後に読者の皆さんに一言お願いします。
 このような素敵な舞台に立つ機会を頂いて本当に光栄です。コンクールが始まる前には本当に想像していなかった未来で、正直今でも夢みたいです。この作品はいい意味でも、悪い意味でも私達のリアルに近い作品です。皆さんがどのような印象をこの作品から受け取ってくださるか、楽しみです。
 もう一言(笑)。高校演劇ができる最後の年になって、高校演劇って特別で魅力的だと気が付きました。この先もずっと高校演劇の世界にいたいのですが、それは無理なので、これから高校生になる人は、ぜひ演劇部に入って欲しいです。楽しんで、いろんなところに顔を出したりして、高校演劇に関わってほしいです!
 最後にもう一言! たこ焼きー、あつあつー、パーンチ!!

 

【公演情報】
高校演劇コンクール近畿大会優秀校
第22回「春秋座」招待公演
演じる高校生

日時:2023年1月29日(日)14:00
公演詳細https://k-pac.org/events/4850/