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劇場について

京都芸術劇場

京都芸術劇場(春秋座・studio21)は、2001年に京都芸術大学(旧名称 京都造形芸術大学)内に開設された、わが国の高等教育機関でははじめて実現した大学運営による本格的な劇場です。舞台芸術研究センターがその管理運営を担っています。
古典芸能を新世紀へと受け継ぐことはもとより、新たな創作活動を通じてさらなる表現の可能性を追求する実験と冒険の場でもあります。
舞台芸術を通じて京都における伝統と創造の姿を全国へ、そして世界へと発信します。
京都芸術劇場は、主に歌舞伎の上演を想定してつくられた大劇場=春秋座と、主に現代演劇・ダンスの上演を想定してつくられた小劇場=studio21という、まったくタイプの異なる二つの空間から成り立っており、伝統演劇・芸能から最先端のマルチメディア・パフォーマンスまで、現代の多様な舞台芸術(=performing arts)を幅広くカバーできる施設を誇っています。

撮影:清水俊洋

春秋座

京都造形芸術大学(現 京都芸術大学)で歌舞伎実技を教えていた三代目市川猿之助(現猿翁)の、大学に歌舞伎を上演できる本格的な劇場を作りたいという強い希望のもとに実現した劇場です。
「春秋座」の名は、『史記』の「春秋に富む」という言葉から取られたもので、若さに溢れ将来性ある若者を、本物の舞台芸術をとおして育成したいという願いがこめられています。春秋座は、歌舞伎公演のための盆(廻り舞台)やセリ、花道などのほか、オペラ公演のためのオーケストラピットも備えています。
大劇場「春秋座」は、観客席・舞台ともに本格的な歌舞伎スタイルを基本としながら、現代劇などの上演にも対応できる設計が特徴です。歌舞伎のための花道、廻り舞台、鳥屋などを設置する一方で、オペラなどのためのオーケストラピットを設け、各種の舞台表現にも活用できる工夫を凝らしています。

studio21

小劇場<studio21>は、現代演劇やダンス、パフォーマンスなど、さまざまな舞台芸術のための実験空間です。移動可能な照明設備や音響装置を備え、天井グリッドには機材や美術装置を自在に吊ることができます。客席用ひな壇は組替式で、スペースの縦使いや横使いも自由です。

撮影:清水俊洋

舞台芸術研究センター

京都芸術大学舞台芸術研究センターは舞台芸術の創造過程の総体を研究対象として「創造の現場」と「学術研究」の有機的な結びつきを図るべく、2001年4月に発足し、文部科学省、文化庁などの助成を受け、「学生・教育への還元」も鑑み活動を続けています。

設立の理念
私立芸術系大学である本学は、「藝術立国」「京都文藝復興」を建学理念とし、当研究センター(および「京都芸術劇場」)は上記の理念を、実現するための拠点として位置づけられています。

「劇場」と「研究」の両輪
「創造する伝統」という公演理念のもと劇場を運営し、多様性を持ったプログラムを実践するため「プログラム選定委員会」「教育・研究連携委員会」と専門的な制作、技術スタッフが密に連携し、プロフェッショナルな舞台作品の公演(=歌舞伎舞踊、能・狂言、落語、オペラ、現代演劇、ダンス等)、ワークショップ、研究会、出版などの主催事業を実施しています。
また多彩な研究の実現、研究成果の発信、研究者の育成等を目指し以下3つの機能を実践しています。

① 教育機能:本学舞台芸術学科をはじめとする関連諸学科・大学院、また他学研究機関などとも連携しながら、舞台芸術のさまざまな創造現場に携わる実践的な人材育成を行っていく。

② 研究機能:芸術系大学にふさわしい「創造」とそのための「研究」を、多様性もって実践し、本研究センターの特色を活かしてその成果を広く社会に発信し還元する。

③ 社会貢献機能:「京都・関西圏」の地域文化活性化に貢献していく。

センター所長より

京都芸術大学舞台芸術研究センターは、舞台芸術の「創造の現場」「学術研究」のより有機的な結びつきを図るべく2001年4月に発足しました。
「京都芸術劇場」(春秋座 ならびに studio 21)という他に例のない「大学の劇場」では伝統から現代まで様々な舞台芸術作品を上演し、研究活動においても学内・学外の研究者および研究機関との共同研究や国内外拠点との共同作業など、舞台創造の現場と密接に連携した研究・創造のネットワーク作りを行なってきました。
今後も舞台上演と舞台芸術研究をダイナミックに組み合わせていきます。またそこでの成果を学生・教育分野、そして社会へ還元していきます。
劇場という「場」で舞台というエンタテイメントを芸術全体の中で横断させ、それらと研究を融合させながら新たな「賑わいの場」を創出できればと思っています。

                                      安藤善隆

 


共同利用・共同研究拠点

京都芸術大学「舞台芸術作品の創造・受容のための領域横断的・実践的研究拠点」は、文部科学省「共同利用・共同研究拠点」の認定を受け、2013年度に設立された研究機関です。
本研究拠点の母体は、「京都芸術大学 舞台芸術研究センター」(以下、KPAC)です。同センターは、2001年の設立以来、文部科学省、文化庁等の各種助成を受けつつ、創造と研究が結びついた独自の研究活動を行ってきました。最大の特徴は、他の研究機関に類例のない本格的な劇場施設「京都芸術劇場」(春秋座、studio21)を有していることです。同センターでは、①具体的な舞台芸術作品の創造・発信事業を「ファクトリー機能」、②舞台芸術作品の創造を何らかの点で視野に入れた実験や研究を、〈大学の劇場〉が果たすべき「ラボラトリー機能」と位置づけています。
本研究拠点は、「京都芸術劇場」を拠点設備とし、舞台芸術の創造・研究における「ラボラトリー機能」の社会実装をミッションとしています。
本研究拠点は、そうした問題意識に基づいて設立されました。すなわち、芸術活動の根幹となる作品の「創造」と「創造」に必要なヒントやインスピレーションを与える「研究」とが、実践的に融合する「芸術系大学」の社会的使命という観点から、アーティストと研究者・批評家が共同研究チームを組み、「創造のプロセス」を構築していく場(=「ラボラトリー機能」)を広く提供することを理念としています。本研究拠点の研究施設である「京都芸術劇場」を、共同利用・共同研究の「現場」として、できるかぎり多くの人々に活用してもらうことで、日本の舞台芸術創造のより一層の発展に寄与してきました。とりわけ、協働作業に長い時間を要するとされる複数のジャンルによる領域横断的な表現形態にかんしては、本研究拠点の理念と特色がもっとも発揮されるテーマであることから、これまでも重点的に取り組んできました。
すでに終了した第Ⅰ期(2013-18年度)の研究活動における諸成果を踏まえ、第Ⅱ期(2019-24年度)においては、これまで以上に国際的なネットワークの観点を重視しつつ、さらなる研究成果を舞台芸術の創造現場に向けて発信できるよう、多角的な視点から取り組みを拡充していこうとしています。