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祝 国立劇場おきなわ開場20周年 琉球芸能 春秋座特別公演

琉球王朝時代の式楽「組踊(くみおどり)」、格式高い古典から市井の日常をえがく雑踊(ぞうおどり)まで幅広い作品がある「琉球舞踊」、琉球芸能の流れをくみ明治以降にうまれた「沖縄芝居(歌劇)」。この三本柱で、時代の変遷とともに脈々とうけつがれた琉球芸能の魅力を春秋座でお届けします。

主催:京都芸術大学舞台芸術研究センター・公益財団法人国立劇場おきなわ運営財団


解説とおはなし
茂木仁史(国立劇場おきなわ)

【第一部】琉球舞踊と沖縄芝居
「稲まづん(んにまづぃん)」 金城真次
「下り口説(くだいくどぅち)」 嘉数道彦
「鳩間節(はとまぶし)」 川満香多
「花風(はなふう)」 新垣悟

伊良波尹吉(いらはいんきち)作
沖縄芝居・喜歌劇「想(うむ)い」
 主ぬ前/嘉数道彦
 妻/伊禮門綾
 里之子/金城真次
 チル小/知念亜希
 下男/國場海里 森山康人
 尾類アンマー/赤嶺啓子

【第二部】組踊
「女物狂(おんなものぐるい)」
 立方指導:宮城能鳳(人間国宝) 地謡指導:西江喜春(人間国宝)
 盗人/川満香多
 亀松/富島花音
 母/新垣悟
 座主/嘉手苅林一
 小僧一/森山康人
 小僧二/國場海里
 童一/宮城琴羽
 童二/宮城柚羽
 童三/渡名喜苺英

地謡(第一部・第二部)
歌三線 西江喜春(人間国宝) 花城英樹 玉城和樹 大城貴幸
 箏  宮里秀明
 笛  宮城英夫
胡 弓 川平賀道
太 鼓 比嘉聰(人間国宝)


各演目作品解説

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第一部 琉球舞踊と沖縄芝居
一、「稲まづん(んにまづぃん)」
五穀豊穣を祈る女踊で幕が開きます。この踊りの小道具の稲穂は、まさしく世果報の象徴であり、稔り豊かな御代を願って踊ります。紅型衣裳の華やかさとともに、厳かな雰囲気を醸し出す古典女踊です。

二、「下り口説(くだいくどぅち)」
道行を意味する杖(チーグーシ)を小道具に用い、凜々しく踊る古典二才踊です。任務を終えた琉球の役人の、薩摩から那覇港までの船旅の様子が描かれています。

三、「鳩間節(はとまぶし)」
明治、大正、昭和にかけて活躍した沖縄芝居役者の伊良波尹吉(いらはいんきち)が、大正の初め頃に振り付けた作品で、大和の「かっぽれ」の技法を用いた、明るく楽しい雑踊です。音曲も、八重山地方の原曲がアップテンポに編曲されています。

四、「花風(はなふう)」
人目を忍んで、愛する男性の乗る船を見送る遊女の心情を切々と踊ります。小道具の藍傘と花染手巾が、別れの寂しさをさらに強く印象づけ、現在では、雑踊の最高傑作と称されています。

五、沖縄芝居・喜歌劇「想い(うむい)」
多数の沖縄芝居を世に送り出した、伊良波尹吉の作品です。この作品は、歌劇の醍醐味のひとつである「ツラネ」の技法が多く使用されており、舞踊的な表現も見どころです。美貌の遊女チル小と、チル小を身請けしようと企む主ぬ前、チル小と相思相愛の若侍、登場人物それぞれの「想い」が明るく描かれています。

第二部 組踊「女物狂(おんなものぐるい)」  
組踊の創始者、玉城朝薫(たまぐすくちょうくん)の作品です。物語の前半は、人盗人が、遊んでいる子どもを言葉巧みに連れ去りますが、寺の僧が策を練り、子どもを救うまでの場面がテンポ良く進行します。一方後半は、行方不明になった我が子を探し、さまよい歩いている母親が登場し、二揚げ曲のゆったりとした曲想に合わせて、狂乱の体を表現します。数ある組踊の中でも、起承転結の整った不朽の名作です。